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ヤマトの章 16 僕が今、願う事

last update 최신 업데이트: 2025-06-09 08:23:36

「よお、渚。悪い、待ったか?」

「いや、僕もついさっき来た所だから大丈夫だよ」

自分の顔が引きつっているのが分かる。

「それより僕に話って何? わざわざこんな場所まで呼び出して……そんなに大事な話なの?」

一応僕は祐樹に質問してみた。

「いやあ……ただ俺はもう一度、どうしてもお前とじっくり話をしたかったから呼び出しただけさ」

のんびりした言い方に流石に呆れてしまった。

「そんな話の為に僕を呼び出したの? だったら帰るよ」

たったそれだけの理由で僕をここまで来させるなんて、もうこれ以上は付き合い切れない。そう思って立ち上がろうとしたが祐樹に引き留められた。

そして祐樹は何故か、渚が以前付き合っていた女性に通帳とカード全て奪われたと言う話を始めた。確かに僕の記憶の中にある。でもそれが一体何だと言うのだろう? 黙っていると祐樹が続けた。

「あれ? もしかしてお前、この件……ひょっとして覚えていないのか? もしかして記憶が欠けたのはそれが原因だったのか?」

まさか、そんな訳無いじゃないか。だけど、何といえばいいのだろう。その時僕の目に散歩中の犬が目に入り、思わず可愛い犬だと呟いてしまった。途端に顔色を変える祐樹。

「お前、やっぱり渚じゃないな!? 誰なんだ!」

しまった! 渚は犬が大嫌いだったんだ。これだから複数の記憶を持つっていうことは厄介だと改めて思う。疑惑の目を向けられ、僕は祐樹に胸倉を掴まれ、拳を振り上げられた。

殴られる! そう思った瞬間、意外な掛け声を聞いた。

「待てよ!!」

そこにいたのは里中さんだった――

****

 ……どうしてこうなってしまったんだろう。僕ら3人は国立公園にあるカフェに向かい合って座っている。お互い無言だ。このまま黙っているのも不自然なので僕から話すことにした。

「ところで、里中さん。どうして今日はここにいたんですか?」

急に話を振られた里中さんは明らかに動揺している。……ひょっとして僕の後をつけて来ていたのかな?

「お、俺はサボテンを買いに来たんだ! ほら、あそこにもポスターが貼ってあるだろう?」

必死で言い訳してるのが傍目からも良く分かった。でも僕の為に自分の立場を考えずに飛び出してくれた里中さんに心の中で感謝した。だから僕も白々しい嘘に乗る。

「へえ~里中さん、サボテンが好きだったんだ。ちっとも知らなかったよ」

けれど祐樹は疑いの
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